ある放課後、部活中のはずの鬼道さんと廊下で偶然出会いました。
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「・・・・・鬼道さん、それ、どうしたんですか」
「・・・・・聞いてくれるな」
「ええー、ガッツリ聞きますよ。どうしたんですか、そのマント」
「・・・・・破れた」
彼のトレードマークと言えばマント・・・というよりはゴーグルだけど、いやドレッドも捨てがたいけど。
まあフィールド上で鮮やかに翻る真っ赤なマントも彼のトレードマークの一つだ。
そのマントが半分から下がビリビリに敗れて短くなっている。
長さ的にマントと言うよりはポンチョ。
真っ赤なポンチョ、あれ、なんか可愛く見えてきたよ鬼道さん。
「そんなの見ればわかりますよ。なぜそんな風にビリビリになったんですか・・・
・・・はっ!
もしやいじめですか! どこのどいつですか! 影山ですか!
今すぐ闇討ちしてきますよ!」
「落ち着け違う!」
「大丈夫ですよ!私これでも黒帯ですから!」
「(なんだと!?)そうじゃなくてだな、これはただ…技に失敗してだな…」
「・・・そうなんですか?」
「ああ、おまえが心配することは何もない」
なんだ早とちりか、うっかり誰かを闇討ちするところだった。
穏やかではない言葉が脳内を駆け巡ったが、いくらなんでも技が失敗したからってマントが引き裂かれるほどの衝撃って何なんだ。
今更ながらに鬼道さん本人は無事なのだろうか。
ぱっと見は、膝を擦りむいたくらいしか分からないけど。
「因みに何を失敗したんですか?」
「ん、ああ、新必殺技を練習中に佐久間との連携がうまくいかなくて縺れてしまったんだ」
「(・・・そうですか。)佐久間殺す」
「本音が出ているぞ」
「大丈夫です、事件にはしませんから」
「だからだめだ、佐久間はチームに必要なメンバーで・・・・」
「あ、佐久間だ。ちょっとヤッてきますね!」
「逃げろ佐久間あああああ!!!!」
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100516
佐久間は特に悪くはない。
ただタイミングが悪かった。